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タワマン好きなIT系共働きイクメンパパのライフハック

【出産体験談】立会い出産で妻の頑張りと娘の誕生に感動した話

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娘が生まれてから早6ヶ月が経とうとしている。ここまでの日々は何かと大変ではあったが、我が家に新しい風を吹きこんでくれて、幸せな日々を送っている。

しばらくブログは書いておらず、そろそろ再開しようかなというとき、ふと思い出したのが、立会い出産のこと。当時立会い出産がどんなものか知りたかったのでネット上を検索したのだが、あまり夫視点での出産立会い記事や体験記がなかったことを覚えている。私は出産のことを忘れないようにと割とマメにiPhoneでメモを取っていたので、これから出産を迎える旦那さんの一助になればと思い、これを公開してみることにした。

ひとつ言えることは、立会い出産するかしないかで迷っている人がいれば、是非立会いしてほしいということだ。夫婦の絆は深まるし、何より子供が生まれる瞬間を見ることが出来るのは夫にのみ許された特権である。メリットデメリットではなく、生命の誕生を夫婦で迎えるということの素晴らしさは、その場に立ち会うことでより実感が強まる。

なお、分娩室では基本的に正面から奥さんを見れないように考慮されているので、その点もあまり気にすることはないし、いざとなるとそんなことはどうでも良くなっているというのが本音(私も血はとても苦手だがそれどころではなかった)。

また、これといって旦那さんが特別に準備も必要ない。一般的に出産前後奥さんが必要とする荷物を持っていけば良い。

強いていえばテニスボール、うちわ、ストロー、タオルなどがあるといいと思ったが、これらは全て分娩室にあったので、あえて購入しなくても良いと思う。カイロは使わなかった。

陣痛〜入院まで

2016/12/22 900 会社でテレカンに参加していたところ妻が入院したことをLINEで知る。予定日が1月1日だったのでだいたい1週間早い。朝3時頃から陣痛が来ていた模様で、間隔が10分を切ったところで病院に電話し、そのままタクシーで病院に行ったらしい。タクシーがなかなか捕まらず、気合いで荷物を両手に抱え、大通りまで出て捕まえたのが妻らしい。その時点での子宮口は3センチとのことだったが、そのまま入院するかどうかはまだ分からないとのこと。帰ってからまた病院に行くのは辛そうなので、そのまま入院させてくれと思った。結局そうなったわけだけど。

930 ミーティングが終わったらすぐに上司と常駐先のお客様に妻が産気づいたことを知らせて早退する。こんなとき早退しやすい職場で良かった。快く送り出してくれたお客様にも感謝。

1100 妻からパーカーとタブレット(入院した時のために海外ドラマをDLしてた)それとホッカイロが陣痛に良いということで持ってくるように依頼を受ける。妻が会社で食べるように毎日待たせてくれている弁当(親子丼)を家で食べて、荷物を持ってすぐに出発。と、病院に向かう途中で雨が降ってくる。結婚式や新婚旅行でも雨を降らす雨男たる所以をこのタイミングでもいかんなく発揮したみたいだ。ちなみにタブレットとかは全く見る余裕がなかったので不要だった。

妻から連絡があり、希望していた最安の6人部屋は空きがなく、4人部屋になるとのこと。差額7000円を払う必要があるらしい。なんだか納得がいかないが、妊婦が多い地域なので、仕方がない。

1130 病院近くのイトーヨーカ堂横のドラッグストアでホッカイロを買い、すぐに使えるようにひとつ取り出して温めながら向かう。病院に到着するとすぐに陣痛室に通される。妻は修行僧のようにあぐらをかいてベッドの上に座っていた。妻はスマホいじりが好きなので、てっきりベッドに寝転がってスマホをいじっていると思っていたので、少しだけその姿が面白かった。5分おきくらいに陣痛があるらしく、その度に顔をしかめている。腰をさすってやると良いと入院前に病院からもらったマニュアルに書いてあったので、早速さすってみるが、気に障ったらしく怒られる。この後もずっとそうなのだが、基本的に私が良かれと思ってすることと、妻が要望することにズレがあるらしく(そりゃそうだ)、さする位置やタイミング、リズムなどは逐次妻からの指示を待って対応する必要がある。この時ばかりは妻に文句を言ってはいけない。なお、テニスボールを腰に当てるとか、温めるとかゆっくりさするとか、いわゆるお産マニュアルに書いてあることは、やり方さえ間違えなければやはりというかそこは先人の知恵。有効であった。

テニスボールを腰に当てる妻
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1200 しばらくすると昼食が出る。健常者と同じメニューなので、ハンバーグやら角煮やらフライドポテトやら、やたらとカロリーが高そう。妻も陣痛と陣痛の間は食欲があるらしく食べていたが、このころになると陣痛の痛みがかなりキツそうであった。
陣痛の強さと子供の脈拍を測定するため専用のベルトを巻いて子供の脈拍と外側陣痛の強さ?を数値で把握することができるのだが、これが面白かった。妻の陣痛の強さに合わせて、外側陣痛の数値が高まるのだが、大体70が平均くらいでこのときは痛みがなく、陣痛でお腹が張り90を超えると痛みが強まるらしい。(ネットで調べると平均が20くらいみたいなのだがデフォルト設定がおかしかったのだろう。次に測定したときは平常時ゼロだったのでこの時のセッティングにミスがあったということが分かった)なので、そのタイミングでさすってやったり、温めてやったりしてやる。しばらくするとそのベルトは回収されてしまうのだが、夫目線からするとこのベルトは陣痛の度合いを客観的に知ることができて良かったので、残しておいて欲しいと思った。

1500 内診。まだ子宮口は4センチとのこと。うーん1センチしか広がってない。ネットには1時間に1センチは開くと書いてあるのに、本当に個人差があるんだろうな。ここで私の母にも連絡をする。仏壇に祈ってるねとのこと。なお、この病院は赤ちゃんが生まれてしばらくするまで夫以外は付き添い不可であるため、近くに住む私の親と、石川県に住む妻の両親はしばらく自宅待機である。

1630 妻が陣痛の合間を縫って重い腰を上げてよろよろとシャワーに行く。その間に私はコンビニに食べ物を買いに行く。おにぎり2つ(五目とエビマヨ)と惣菜パン(ソーセージドック)。外は風が強く台風みたい。今日は長い夜になりそうだ。

夫婦2人の最後の長い夜

1700 妻のイライラが続く。カーテンの閉め方や、ホッカイロの保管場所、陣痛のログは都度報告しなくていい、などなど。その度少しイラっとするものの、今日はとグッと飲み込み言われた通り対応する。ちなみに買ってきた惣菜パンを食べていたら外で食べるようにと怒られた。そして気づいたら1人だったはずの4人部屋が満員に。

1800 夜ご飯。焼き魚とキャベツのゆかりあえなど。昼とは打って変わって渋い。妻は陣痛と戦いながら食べる。それにしても痛い時とそうでない時の落差が大きく、自分には想像もつかない。なお、夜食用に出されたごまスティックと麦茶を、間違えて平らげてしまったことにあとで気づく。

1900 陣痛が3-4分間隔で来て、大体1分ほど続くようになる。その都度テニスボールでお尻を押してやる。周りの妊婦からも痛いとかうめき声が聞こえて来て恐ろしい。人が本気で痛がるシーンなんて30年生きてきてほとんど見たことがないわけで、なんとか早く生まれてくれと祈りつつ、合間を見て妻と院内を散歩をする。歩くことで子宮口の開きが促進されるらしい。散歩と言っても単なる廊下の往復だけど。妻の飲み物が切れそうだったので飲み物と軽食(サンドイッチ)を院内のコンビニに買いにいく。途中の新生児室の赤ちゃんに癒される。

2000 3-4分ぼーっとし、1分陣痛と戦う妻、テニスボールで押してあげる私、という構図がしばらく続く。

陣痛に苦しむ。この光景はこの病室のすべての妊婦に訪れるf:id:nacrie:20170618183230j:image

2100 なぜか陣痛の間隔が5-6分に伸びる。斜め前の女性のうめき声が凄い一方で、破水入院したと思われる隣の女性はまだまだ余裕がありそう。ちなみに、このとき再び装着した陣痛計測ベルトで子供の心拍数が157,158,160...165と推移するのを見ながら、こっそり日ハム大谷の球速に見立てていたのは内緒。

2130 消灯

2300 看護婦さんからまだ長引きそうとのことでと帰宅を促される。外は台風並みの大荒れなのと、いつ容体が変わるか分からないのもあり迷ったが、妻と相談して帰ることにする。外は想像通りの大雨。病院周辺のタワマン風も相まってビショビショになりながら帰る。そのまま泥のように就寝。

翌日〜陣痛促進剤投入

12/23

600 起床。特に容体に進捗なしとのこと。子宮口も4センチのまま。妻の義母も出産に時間がかかったというが、遺伝するのだろうか。義母もはじめから出産は長引きくだろうと予言?していたのであながち間違いではなさそうだ。
妻の夜通し寝れずにお腹が空いたという嘆きのLINEを横目で見ながら(夜食のおやつを夕食時に食べてしまったツケが回ってきた)、昨日夕方に自分用の夕飯として買って、食べずに持ち帰ったサンドイッチを食べる。妻用に置いて帰ればよかったなと少し後悔する。

900 体を拭くためのウェットティッシュを念のため妻用に買って病院着。歯磨き終わりの妻に遭遇。思ったより元気そうで安心する。裏を返せば昨晩から特に状況が変わっていないということだが… 昨晩ずっとうめき声を上げていた同室の女性は0時ごろ容体が進展し、そのまま出産したらしい。その代わりに今度は別の女性がうめき声を上げるようになっていた。初め妻だけだった4人部屋の陣痛室がやがて満員になり、後から入ってきた人が先に出産して去っていくという状況はやはり焦りが生まれると思うが、こればかりは赤ちゃん次第なのでどうしようもない。焦る必要はないと声をかける。妻は仕事ではマネジメントを本業としており、常日頃スケジュール管理とケース別の対処法を明確にする性格で、先が見えない状況が性に合わないことを知っている。例えば、子宮口がいつまでに何センチ開いていない場合の対応が整理されていないとダメなのだ。無論、自然分娩においてはそのような画一的な対処法がある訳もなく、ひたすら待つだけなのだが…

陣痛室のこの装飾。この部屋は陣痛に耐える部屋なので生まれるのは分娩室…f:id:nacrie:20170618183254j:image

945 陣痛促進剤を使う判断が下される。入院後24時間以上経過したからだろうか。睡眠不足や体力の消耗などを考慮しての判断だろう。

1015 点滴開始。ごく少量からスタートし様子を見ながら増やしていくらしい。仕方がないにせよ点滴による薬の投与は不安になる。

1030 徐々に陣痛の間隔が短く、痛みの時間が長くなる。3-4分間隔で、だいたい1分半くらい。促進剤の効果だろうか、10ml/hで既に3ml投与されたと点滴の機械に表示されているが、たったこれだけですごい効果だ。

1045 昨日から尿の量が少ないという妻の自己申告により、管を通して尿を出すというなんとも痛そうな処置が決定する。膀胱に尿が溜まっていると赤ちゃんが出にくくなるらしい。あとで聞くと痛みは陣痛ほどではなかったらしい。大したことなくて良かった。この時点で促進剤の投与量が20ml/hに増える。

1115 陣痛が3分間隔で安定してくる。痛みも1分以上続くようになり、明らかに痛みは強くなっている。投与量30ml/h。

1145 うめき声が悲鳴に変わっていた前の女性も分娩室へ。これで妻の後に陣痛室に入ってきた3人全てに先を越されてしまった。投与量40ml/h。この頃になると妻からうめき声が漏れ始める。陣痛と陣痛の間の休憩タイム?も促進剤投与前と比べるとだいぶ余裕がなくなってきた。

1215 投与量50ml/h 最初の投与量の10倍。痛そうで見ているこっちが不安になる。妻からまだ?まだ?と聞かれるものの判断しようがないので困り果てる。もう少しと答えるのが精一杯である。

1245 昼食を出されたが、一口も食べずに下げられる。旦那さんはいかが?ってこの状況で食える訳ない。ここで妻が痛みに耐えかねて初のナースコール。この時点で陣痛は2分間隔になっている。診察のため外に出ると先ほど分娩室に入った絶叫ママが絶叫している。壮絶。ようやく子宮口が6cmまで開く。一番痛い時とのこと。頑張れ!投与量60ml/h

1320 深呼吸を鼻から「吸って〜、吐いて〜」とリズムよく進められるよう促してやると調子が良いみたいで、陣痛の波が来るたびにリズミカルに一緒に深呼吸をする。あとは飲み物を口にするくらいしかできることがなく、あとは陣痛アプリでひたすら記録する。(腰をさすると嫌がる)。暑いと言われたので、うちわで扇ぐものの寒いと拒否されたり、汗を拭いてと言われて拭くとそのタオルを奪い取られ、男の役立たず感を嫌ほど痛感する。その後、破水したかもと妻から看護婦に申告。もう1人の女性はまだ分娩室で苦戦中。絶叫が続いている。

そして分娩室へ

1340 再度診察。そろそろ分娩室とのこと。たまたま居合わせた隣の女性の旦那と陣痛室外のベンチで2人で無力に待つ。とここで看護師に荷物をまとめて下さいと慌ただしく言われ、急いで病室の荷物をまとめて再びベンチで待つ。気づいたら陣痛室にいた妻と看護婦さんがそそくさと分娩室へ。私はなぜか放置プレイ。

1352 産声が聞こえる。うちか!?うちなのか!?分娩室前のベンチに放置プレイに心が落ち着かない。なんでここまできて放置プレイなんだ!?

1400 と思ったら分娩室に入るよう呼ばれる。まだうちじゃなかったみたいで一安心。分娩室に入ると、妻は必死になって苦しんでいる。これまで他人事でしかなかった出産が目の前にある。

1430 うちも含めて3家族の出産が同時並行らしく分娩室に2人きりで放置される。普通分娩室って医師と看護婦がつきっきりじゃないのか?!まぁ、文句を言ってもしょうがないので、妻の陣痛のタイミングを見てひたすら深呼吸を誘導する。周りの妊婦を見ていると、深呼吸のリズムがないと、声を出しすぎたり、息が乱れて余計苦しそうに見えたので、深呼吸に集中する。5〜10分おきくらいに看護師さんが来て様子を見てくれるものの、それ以外は基本放置プレイ。妻がもう産まれるーと叫んでもまだまだよと言わんばかりの余裕具合。そりゃ相手は毎日のように出産経験してるんだから、産まれるか産まれないかの判断は頭に入ってるわな、と冷静に感心する。

1500 子宮口全開。徐々に頭が見えて来たらしい。ここまで来ると看護婦さんからよく耐えましたね〜山は超えましたよ、とのありがたいお言葉。確かに妻を見ていると陣痛の波が谷のときはかなり落ち着いている。そして、これまで我慢するように指示されていた「いきみ」であったが、陣痛の山のときにはもういきんで良いとのことで、これが気持ち的にも良い方に働いているようだ。1520ごろにあと15分くらいですよ、と声をかけられラストスパート。ここまできても基本は放置プレイではあるが、妻のいきみ方が上手らしく、何度も看護婦さんに褒められる。俺の深呼吸の誘導もひとつの理由なのでは?と内心自惚れる。

運命のとき

1538 何度も妻がいきむ。すると頭はもう出ましたよ〜と言われる。頭の出かたが綺麗?らしくまた褒められる。ここにきてようやく先生と看護師の2人体制になる。立会いとはいえ、後ろにいるので状況はよくわからないけれど、クライマックスに近づいているのは確か。

 

そしてついにその瞬間が!!

 

15時38分、赤ちゃんが誕生。女の子。これまでの経緯がフラッシュバックし、感動に包まれて涙ぐむ。妻の頑張りにも感動したし、頑張って産まれて来た赤ちゃんにも感動しかない。赤ちゃんは2940グラム、48センチ。なんだこの生き物はと思うほど可愛い。赤ちゃんはこのあと専用のベッドに移され、体温やなにやらの検査を受ける。私が赤ちゃんに夢中になっている中、妻の産後処理が始まる。振り返ると胎盤が徐々に出て来るのが見える。後から聞いたことだが通常胎盤はチュルンと出て来るものらしいのだが、妻の場合ひたすらハサミを使いながら掻き出されている。見てみると妻の股から胎盤がぶら下がっているのが見え、かなりの衝撃。痛みは相当のようで妻の叫び声が分娩室に広がる。陣痛とは違い、現実的な痛みを感じている気がして不安になる。と思いつつ赤ちゃんがかわいいので写真と動画を撮りまくる。

1607 胎盤が完全排出。最後の最後傷を縫うところまで痛そうで、かわいそうだったが、妻の出産はこれにて終了。もう本当に頭が上がらないです。女の人はもうすごい。正直初めは立ち会いは怖かったしネガティブだったが、いざ最後まで立ち会って見て人生観が変わった気がする。今後出産を控えた人に、立ち会いするかどうかと問われたら間違いなくすべきと答えるだろう。それだけ衝撃があった。

あとがき

とにかく妻にはお疲れ様といいたい。特に、初めて陣痛が来てから少なくとも30時間以上耐えきったという事実と、無事に赤ちゃんを産んでくれたことに対して。これからいくつもの困難が待ち構えていると思うが、そんなときはこの文章を読んで2人で乗り越えていければと思う。

2016年12月23日 21時 からあげクンをアテにひとり祝杯を挙げながら

生まれてくれてありがとう
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